自分の中の殻を破りたかった

青梅市御岳で昔からのカヌー仲間と二人でcafe monacaを経営しているMomoちゃん。
日本リバーボーディング協会で僕達は一緒に活動している。
そして、リバーボードクラブのツアーもよくお手伝いしてくれている心強い仲間。
昨年、心臓疾患で意識不明になり、救急車で運ばれる
昨年、Momoちゃんは自宅で意識を失い、家族に発見されて救急搬送された。
心臓疾患による意識不明。
幸いにも発見がはやかったこともあり、命に別状はなく、その後はまた通常の生活を送れるようになりました。
それ以来、今に至るまで投薬を続けて症状を抑えている。
Momoちゃんは子供の時からいくつかの持病を抱えて生きてきた。
川と供に生きてきた
Momoちゃんは5歳の時からカヌースラロームを始めて、選手として活動してきた。
父親は、元カヌースラローム日本代表で前青梅市長の浜中啓一氏。
そんな父親の影響で小さな頃からずっと多摩川で活動してきた。
Momoちゃんのリバーボードとの出会いは「NHKおはよう日本」
カヌー選手を引退後は、川からは少し遠ざかっていたとのこと。
僕がリバーボードクラブを立ち上げた初年度にNHKおはよう日本の撮影があり、知人の紹介でMomoちゃんに演者としてリバーボードに乗ってもらったのが、僕達の出会いであり、Momoちゃんにとってのリバーボードとの出会いだった。
当時、しばらくカヌーを漕いでいなかった中、久しぶりにリバーボードで川に入ったときに、川の楽しさを再認識・再発見したそうです。
それ以降、Momoちゃんはリバーボードを気に入ってくれて、今に至るまで一緒に活動しています。
病気を理由にブレーキをかけている自分がいた
Momoちゃんがリバーボードを始めて以降、よく一緒に川で活動するようになりました。
さすが元カヌースラローム選手だけあって、流れの読み、流れの使い方はしっかりとリバーボードに活かされて、最初からMomoちゃんのリバーボーディングにはスタイルがあった。
しかし数年前に、御岳カップ・リバーボード部門に出場した際に、自分の身体の限界を痛切に感じたとのこと。
それ以降、レースに限らず身体に負担のかかることからは距離を置いてきた。
Momoちゃんは、幼少のころからの持病に加えて、心臓の疾患を抱えていることを理由に自分にブレーキをかけるようになっていた。
それは彼女にとって、ブレーキをかけるには十分すぎる理由であると同時に、それを理由にブレーキをかけている自分に対する葛藤との日々の始まりでもありました。
本来の自分とブレーキをかけている今の自分とのギャップと葛藤
ー 自分は本来、もっとできるはずー
それがMomoちゃんから聞いた言葉の中で、僕の印象に残っている言葉。
それは、彼女がカヌー選手だったころの努力や取り組み、更にはスポーツ選手としてのプライドが今なお心に残っている現われ。
しかし、今では病気を理由に、一生懸命に取り組むことと距離を置くようになり、どうすれば一生懸命に取り組んでいたころの自分に戻れるのか、分からなくなっていたそうです。
それは、もっと必死に努力していた頃の自分と、ブレーキをかけている今の自分とのギャップであり、同時にそんな自分に対する葛藤でもある。
本当はもっと出来るはずなのに。本当はもっと頑張れるはずなのに。
でも、自分をプッシュするための熱意はいつしか心の奥底へ沈んでいき、病気という理由で蓋をしてきた。それは重い蓋となり、彼女はその蓋の開け方が分からなくなっていった。
一方、彼女の周りでは、同世代でカヌー選手として活動していた人達が、それぞれの新しいチャレンジに取り組んでいる。
元シドニーオリンピック日本代表の安藤太郎選手もその一人。
彼は現在、ラフティング日本代表のTeikeiで選手としての活動を続けている。
そんな彼らのチャレンジに心を動かされながらも、自分自身の中に燻る情熱はどうすればいいのか、そんな自分にもどかしくなる時期が続いていた。
フランスチャンピオンシップ
リバーボード/ハイドロスピードのフランス女子チャンピオンのAmelie。
彼女はパートナーのKeranと一緒に、昨年と今年の夏の期間、リバーボードクラブを拠点に活動していました。
そんなAmelieとKeranがフランス連盟と繋いでくれて、僕がかねてから参戦したかったフランスチャンピオンシップへ日本の選手も参戦させて貰えることになった。
フランスチャンピオンシップは本来、フランス人しか参戦できない大会。
今回特別にチャンスをいただく事ができました。
そのことを、Momoちゃんに告げて、良ければ一緒に参戦してみないかと話を持ちかけた。
僕の中では、Momoちゃんが病気や身体の問題を抱えていることは分かっていたから、フランスへは行かないかも、と思っていた。それでも、Momoちゃんには聞いておきたかった。
その後しばらくしてから、Momoちゃんから「私も出たい」。
大会へ誘った僕自身が驚いた。
フランスチャンピオンシップへ参戦するということは、今まで僕達が行ってきた練習やトレーニングよりも、はるかに高い負荷で取り組んでいかなければいけない。
何故なら、フランスでは、各地で予選を戦い、勝ち抜いた選手達が最終決戦として戦うレースだからだ。そして、それは世界一レベルの高い選手レベル。大会レベル。
紛れもなく世界最高峰のレース。
このレースへ出ると言うことは、僕達もその心構えで取り組まなければいけない。
そのためのトレーニングにMomoちゃんの身体が耐えられるのかどうか……。
そのことをMomoちゃんと話し合った。
そして、改めてMomoちゃんはフランスへ行くと決断した 。
早速、フランス行きの航空券を購入。
もう後戻りは出来ない。
自分の中の殻を破りたかった
フランスへ行くと決めてからも、Momoちゃんの心は揺れていた。
行かない理由が次から次へと浮かんでは消えていく。
健康や病気の問題、お金の問題、仕事、etc ……。
問題を挙げれば切りがないくらい浮かんでくる。
自分に問い続ける日々。
今までもMomoちゃん自身がもがいて、葛藤してきたこと。
人生に覆い被さる様々な問題。
たくさんのできない理由が重く覆い被さる。
でも、彼女の思いは、それらの様々な理由を、これ以上言い訳にしたくない。
やらない理由で覆われた殻を破りたい。
やらない理由を押しのけて、その先の未来へと自分をプッシュして行きたい。
そのMomoちゃんの思いが、今回のフランスチャンピオンシップへの挑戦へと突き動かした。
恐らく、心は常に揺れ続ける。
これから6ヶ月もの間、人生において何が起こるかは分からない。
でも何よりも、そこへ向けた一歩を踏み重ねている今この時間こそが、彼女が向き合ってきた殻の外側へと繋がっているはず。
僕はそう思っている。
一歩踏み出す度に感じることと向き合う
一歩踏み出す度に、世界がどう見えるか。ものごとをどう感じるか。
やる意義、やる意味、それは取り組む中でしか見えてこない。僕はそう思っています。
自分で踏み出す一歩の先にある、その挑戦の道筋を一歩一歩進んでいく中でこそ、やる意義・やる意味は少しずつ輪郭を成して浮かんでくる。
挑戦する目標が定まった今、日々の時間の中で、常に頭の片隅にはレースのことがある。
少しでも、今の自分よりも成長したい。
そのために、できる事をできる範囲で取り組みながら、少しでも小さな一歩を重ねる。
レース当日を、そこまでやりきった自分で迎えることが出来るか。
自分と向き合う日々。
レースまでの生き方、そしてレース後の生き方、その真ん中に軸として存在するレース本番。
様々な問題を抱えながら、様々な葛藤や苦悩を抱えながら、僕達はみんな生きている。
そんな中、前向きに踏み出そうとするこの挑戦をどうか応援して下さい。
是非、皆様の応援をどうぞよろしくお願いいたします。
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