リバーボードで多摩川80kmダウンリバー!山から海への旅!

11月4日、リバーボードとダッキーで多摩川80kmのダウンリバーへ行ってきました。
御岳渓谷から羽田空港まで。
朝の5:30に出発して羽田空港付近のゴールポイントへ着いたのが23:30。
18時間に及ぶ大冒険。
笑いあり涙あり。

リバーボード(ハイドロスピード)で80kmを下るというこの企画はこの御岳で活動している僕らにとっては必然的なチャレンジでした。
カヌーやカヤック、ダッキーやSUPで80kmを下っている諸先輩たちがいて、
リバーボードで活動している僕らも自分たちが普段使っているツールでこのミッションに取り組むことはずっと心の中にありました。
そして、幸運にも水量はハイウォーター。
今しかないというタイミングだった。

早朝5時半にスタートして5分もたたないうちに最初のドラマ(笑)
食料や飲み物、そして夢と希望を乗せたダッキーが転覆しかけました。
幸先の良い一日の始まり。ミラクルを予感させます。

スタート時は真っ暗だったが徐々に明るくなってきて、かんぽの宿付近では視界もはっきりしてきた。

僕はあまり東京の土地勘はないが、東京出身の仲間が橋や線路を見かけるたびに今どのへんだよ~と声をかけてもらえたのが嬉しい。
大体の感覚で後どのくらいかなーと頭の中で逆算していく。

最初は流れがしっかりとあったが、進むにつれて流れはどんどん緩くなる一方。
最初の2時間くらいはこの調子で行くと早いねなんて話していたが、流れが緩くなってくると思うように進まない。。。

それでも、午前中の間は写真にポーズをとる余裕がありました(笑)

進むにつれて、フラットな区間が徐々に増えてくる。
景色を見ながらゆったりと流れる。この辺りはまだ体力的にも精神的にも余裕があった。

多摩川も場所によって様々な地層があった。
そして川沿いでは釣りを楽しむ人や、気持ち良くまったりしている人、BBQをしている人など皆にとっての憩いの場。

途中にはたくさんの堰がある。
大小合わせて大体13個くらいかな?
堰を迂回するのに時間を取られた。
でも、水から上がるチャンスでもあるので上がったときには同じ姿勢で固まった体を伸ばす。
進むにつれて同じ姿勢でいるのが辛くなってきた。
ただ、一番大切なことは「どんな堰も必ず迂回すること。」
どれだけ小さくても必ず迂回すること。
川のスポーツで一番怖いものは人工物だ。
一見なんでもないように見えても絶対に迂回することだ。

どこから迂回するか。初めてなので慎重に慎重を重ねる。

とりあえず早く二子玉まで着くという言葉が頭の中に。
二子玉まで行けば後は先が見えるという。
この考えは甘かったとすぐに思い知らされる。
もういくつの堰を迂回したかわからなくなってきて、流れも緩く進みも遅く、体のあちこちに痛みが出始めてきた。
それでもひたすら泳ぐだけ。
明るいうちは景色なども綺麗で爽やか。

仲間のじゅりーさん。
ダッキーに荷物など載せてくれていた。
カメラを向けられるといつも会心のポーズ。

とりあえず休憩しようということでショートブレイク。
道具を外して、食べ物をお腹に入れて水分補給。
体を可能な限り伸ばしてしばしの間リラックス。
この時に気づいたことなのだが、スタートして直後、ジュリーさんが乗っていたダッキーに積んでいた僕の唯一の食料である3つのおにぎりは、彼が転覆しかけたときにすべての荷物がしっかりと川に浸りながら引きずらて、見事に多摩川の美味しいお水によってミディアムレアなお粥おにぎりと化していた。。。

そんなことは露知らず、隣でジュリーさんがかめはめ波を打っていた。

さあ、元気出してこう!ということで先を急ぐ。

堰の迂回もだんだん慣れて、みんな手際が良くなってきた。

そしてまた続くフラットセクション。
だんだんとバタ足が辛くなってきたら今度はハンドパドルと交互に手と足を休ませながら進む。
僕の失敗したなと思うのはもっともっとしっかりと自分の体の弱い部分にテーピングをするべきだった。
もう7時間経過したくらいからは右ひざが痛くてバタ足ができなくなってきた。
今回のチャレンジは自分の体と向き合うとても良い時間だった。

なんて美味しそうに食べるんだろう(笑)

そしてまた、いくつもの堰を迂回。
先を急ぐ気持ちもあるけど、堰の迂回はかなり慎重にしなければいけない。

もう途中からは堰の迂回の時くらいしかカメラのシャッターを押さなくなってきた。
みんなそれぞれ体の痛みと戦っていた。
それでも誰も弱音を吐かず、ポジティブな言葉で勇気づけあいながら進んでいった。
今回の冒険もだんだん自分との戦いへと突入していく。

この堰の迂回が一番てこずった。
上流側にいたときに右岸か左岸かどちらから迂回するか。
この選択を間違えるとかなりやっかいで、今回は厄介な方を選んでしまった。。。
迂回はできたけどかなり時間をロスして辺りは徐々に薄暗くなってきた。

延々と続くフラットセクション。
ついに太陽も沈んでいき、この辺からは黙々とバタ足。
どの程度進んでいるのかだんだんわからなくなっていく。
右の岸やビルを見て自分の進んでいるスピードを図る。
右を見ているときにやたらゆっくりだな~と思って、左を見ると結構早く進んでると感じることも。
そういう時は左を見ながら頑張る
人間手ごたえがないと頑張れない。

暗くなってきたら目標物も見えにくくなる上に、川幅も広くなるので何だか進んでる感がかなり薄れてくる。

時々足がつくところで立って腰を伸ばしたり姿勢を変える。ここまで川幅が広いと流れも遅く泳がないと進まない。
この辺りでは大体時速1~2kmくらいでしか進まなかった。

はたしてあと何キロあるんだろうと頭に浮かぶが、とにかく進むしかない。
ダッキーはこういうフラットセクションでもスイスイ進んでいく。
風には弱いけどやはり機動力でいうと段違い。
流水ではそこまでリバーボードとスピードの差は感じないけど静水では速い。

ただ、僕らにとってはリバーボードで下ることに意味がある。
リバーボードの可能性を追求すること、そして広げること。
そしてリバーボードでどこまでできるかということ。

真っ暗な中、街の明かりが眩しい。
みんな徐々に体力の限界を迎えていたはず。
でも、弱音を吐くとそこから一気にモチベーションを失うので誰一人弱音は吐かなかった。
グッとこらえながらゴールしたら何を食べるかに思いをはせる。

目の前に見える橋も泳げど泳げどまったく近づいてこない。。。
距離感がつかめないけどとにかく目印になる橋を見つけると頑張ろうと気合を入れる。
この状況になるとただひたすら、黙々と泳ぐのみ。頭の中では色んなことを考える。ハンバーガーを食べたい、布団に横になりたい。

早く羽田空港の光を拝みたいと思いながら頑張って泳ぐ。
足が攣ったら手で泳いで治ったらまたバタ足。

このようなロングツーリングでは固くて瞬発力のあるフィンではなくて、
柔くて足にあまり負担のかからないフィンがおススメ。
僕は固いフィンを履いていたので足が悲鳴を上げるのが早かった。
予備で柔らかいフィンを持って行っていたので途中で履き替えると楽になった。全然違います。
あとは、やはりロングツーリング用のリバーボードを作ろうと思った。
ライフジャケットのちょっとしたふくらみが気になったり、長時間上体を安定させるのに適したボードがあるとだいぶ違うと感じた。
道具選びって改めて大切だなと痛感。

ここまで暗いと、ここどこ!?って感じ。
みんな無口になりそれぞれ自分の世界の中で己と格闘している。
まるでドラゴンボールの精神と時の部屋にいるみたい。
痛かったはずの右足も徐々に使えるようになり、ほぼほぼ力をいれないでゆっくりバタ足。
早く強くバタ足するよりも、ゆっくりでも絶え間なく持続的にバタ足をする、そして進み続けることが大切。
泳いでも泳がなくてもスピードがあまり変わらない気がするほど手ごたえのないスピード(笑)
もうこの辺りでは日付が変わってもなんでもいいからとにかく自力でゴールする。
必ずゴールするという思いははっきりしていた。

今までは流れのある急流でリバーボードを楽しんでいたけど、今このシチュエーションになると流れがあることってなんて素晴らしいんだろうと思える。

この写真はきっと二子玉あたりでしょうか。
始めは二子玉までくればと思っていましたが、二子玉からもかなり道のりが長かった。
そして、進みがとてもとても遅い。
海に近づくにつれて潮の影響が出てきました。
満潮でゆらゆら波が立って余計進まない。

この時間になると潮が引いていくはずと、ごんちゃんが希望の言葉をかけてくれながら、あともうちょいという言葉で背中を押してもらいながら暗闇をひたすら進む。
進んでいる感はほぼ無しで笑える。
でも、ごんちゃんがバタ足で進めば僕も負けじとバタ足という感じでお互いの頑張りが励みになる。
この先は写真を撮ることよりも進むことを優先して写真はほぼ撮らなかった。

そしてなんとかかんとかゴール。
23:30。遅いのか早いのかわからいけど、その日のうちに何とかゴール。
陸に上がったころはみんな歩行が困難だった。
ゴールしたことが無茶苦茶嬉しかった。
でも記念撮影なんてする余裕は一切なく早く車を取りに行って早く着替えることしか頭になかった。
でも、とにかくやりきった、やり遂げたことは本当に嬉しい。
自分をここまで追い込んだ経験はもう随分長いことしていなかったので心のどこかでこういうチャレンジを必要としていた。
修行のような旅だったが、とても楽しくて充実した冒険だった。
一緒にこの冒険をしてくれて支えてくれたごんちゃんとジュリーさん、そしてダッキーを貸してくれたA-strokeの大吾さん、応援してくださった皆様には心から感謝しています。
ありがとうございました!

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